転職エージェントは複数併用すべき?メリット・デメリットと使い分けの考え方

エージェントの複数併用を象徴する若手女性のビジネスパーソンの写真

転職エージェントは、ひとつに絞るべきか、複数を併用したほうがいいのか。私自身、公務員から大手IT企業へ転職する過程で、まさに同じところでつまずきました。

はじめ

私もそうでした…!

いまは立場が変わり、ベンチャー企業の執行役員として採用を管掌しています。複数のエージェントから応募が届く側にいると、併用について応募者向けの記事にはあまり書かれていない事実が見えてきます。

この記事では、併用のメリットと手間を整理したうえで、重複応募が起きたときに企業側で実際に何が処理されているのかまで踏み込みます。ここを知らないまま併用すると、本当の損失に気づけません。

目次

複数の転職エージェントを併用するメリット

まず、複数のエージェントを併用することで得られる主なメリットを整理します。ひとつのサービスだけでは見えにくかった情報や視点が広がる、というのが基本的な考え方です。

多様な求人情報にアクセスできる

各エージェントは独自のネットワークと得意分野を持っています。ある業界に強いところもあれば、特定の職種や地域に特化したところもあります。複数を併用すると、様々な角度から求人にアクセスでき、選択肢の幅が広がります

転職市場は常に動いており、ひとつのエージェントだけでは自分に合う求人を見逃してしまうこともあります。例えば、ある企業の募集情報を扱っているのが、たまたま登録していなかった1社だけだった、というケースは珍しくありません。

市場動向を広い視点で把握できる

エージェントはそれぞれの立場から市場分析や業界動向を教えてくれます。複数の話を突き合わせることで、転職市場全体の傾向や、自分のキャリアにとって有望そうな分野を、偏りなく見極めやすくなります。

自分の市場価値を客観的に確認できる

同じ経歴でも、エージェントによって評価の仕方は微妙に異なります。複数の視点から「あなたの経験は他社でこう評価される」という意見を聞くことで、自分の強み・弱みや市場での位置づけを客観的に理解しやすくなります。

自分の市場価値が分からないという方は、市場価値を3ステップで確認する方法もあわせて読んでみてください。

リスクを分散できる

担当者との相性は、実際に話してみないと分かりません。複数に相談しておけば、ひとつの担当者と合わなかった場合でも他の選択肢が残るため、活動全体が止まりにくくなります。

複数併用のデメリットと注意点

一方で、併用には手間やリスクもあります。あらかじめ知っておけば、ある程度は避けられるものばかりです。

情報管理が複雑になる

複数から求人や連絡が入ってくると、整理が追いつかなくなることがあります。同じ企業の求人が別々のエージェントから届く、ということもよく起こります。

はじめ

確かに同じ会社の情報とかも多く入ってきちゃうもんな…

時間と労力がかかる

複数とやり取りすれば、その分だけ面談や連絡の手間が増えます。仕事と並行して進める場合、無理に増やしすぎると消耗してしまうこともあります。「数を増やす」こと自体が目的化しないよう注意しましょう。

デメリットを抑えるための工夫

これらは、ちょっとした管理で十分にカバーできます。私が実際に役立ったと感じた工夫を挙げておきます。重複応募だけは別の章で詳しく扱います(対策の中身が変わるため)。

1. 情報管理の効率化
  • スプレッドシートで各エージェントからの情報を一元管理する
  • カレンダーアプリで面談や締切を管理する
  • 定期的に情報を整理し、進捗を確認する時間を設ける
2. 時間と労力の効率化
  • 連絡はメールにまとめ、返信する時間を決めておく
  • 面談はできるだけオンラインにして移動時間を削減する
  • 経歴の整理と職務経歴書は一度しっかり作り、各エージェントで同じものを使う

重複応募が起きると、企業側では何が処理されているのか

併用でいちばん注意すべきなのが、同じ企業に複数のエージェント経由で応募してしまうことです。応募者向けの記事では「企業に混乱を与える」「印象を損ねる」と書かれます。

実際に受け取る側にいて言えば、起きるのは混乱ではなく、こちらでの整理作業です。同じ方が2社から届くことは、実際にあります。そのとき私がやるのは次のどちらかです。

① 経歴書を読んで、適性が高そうな求人のほうで進める

2社が別々のポジションで推してきた場合、書類を見て「この方はこちらのほうが合うだろう」と判断し、そちらで選考を進めます。この判断は、こちらが勝手にやります

② エージェントに確認して、本人の希望ポジションで進める

どちらで進めるべきか判断がつかないときは、エージェントとやり取りして本人の希望を確認し、希望する求人のほうで進めます。

ここで気づいてほしいのは、重複応募の本当のリスクは「印象が悪くなること」ではないという点です。

本当のリスクは、①のパターンで、自分が本命だと思っていなかったポジションのほうで選考が進んでしまうことです。こちらは書類から判断しているだけなので、あなたがどちらを本命にしているかは分かりません。

ちち

悪意で振り分けているわけではなく、判断材料が書類しかないからそうなるのです。

だから対策は、マナーの話ではなく自分の意思を通すための管理になります。

【併用するなら必ずやること】
・応募した企業とポジションを、自分の手元で一覧にしておく
どの企業をどのエージェント経由で出すかを、自分で決めて指定する
・各エージェントに「他社にも相談している」と伝えておく
・同じ企業を提案されたら「そこは別経由で応募済み」と即答できる状態にしておく

併用するなら、各社に渡す「自分の説明」を揃えておく

もうひとつ、併用に固有の落とし穴があります。エージェントは応募者を紹介するとき、推薦文を書いて企業に送ります

併用しているということは、複数の担当者がそれぞれ別の推薦文を書いているということです。同じあなたなのに、担当者によって「どういう人か」の説明が変わります。

面談で話した内容が担当者によって違えば、推薦文もそのまま違ってきます。片方では「専門性を深めたい人」、もう片方では「幅広く挑戦したい人」——同じ人の説明としてこれが並ぶと、受け取る側は判断に迷います。

これを防ぐのは難しくありません。自分の経歴と転職理由を自分の言葉で1回だけしっかり整理し、各社に同じものを渡すことです。担当者ごとに話を変えないという、それだけの話です。

整理の手順は、経歴の棚卸しとしてこちらにまとめています。一度作れば、併用している全社で使い回せます。

まとめ|併用は「数を増やす」ことではない

・併用の利点は、求人の幅・市場の見え方・担当者との相性リスクの分散
・重複応募が起きても企業は混乱しない。書類を見て「合うほう」で勝手に進める
・本当のリスクは、自分が本命ではないポジションで選考が進んでしまうこと
・だから、どの企業をどの経由で出すかは自分で決めて指定する
・複数の担当者が別々の推薦文を書くので、自分の説明は1つに揃えて渡す

数を増やすほど有利になるわけではありません。自分が管理できる範囲に収めることが、併用が機能する条件です。


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この記事を書いた人

サビ残100h/月の公務員から30歳で大手IT企業に転職し、年収2倍(360→750万)・残業10h未満を達成。現在はベンチャー企業の執行役員として採用を管掌し、累計1,000名以上の面接と5,000枚以上の履歴書・職務経歴書チェックを通じて200名以上の採用に関与(新卒〜執行役員クラス)。RPOしていた採用の内製化、ATS導入による一元管理、多拠点採用まで自ら設計・運用しています。"採用する側"の本音をもとに、キャリアに悩む方々の道標となる情報を発信しています。

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