転職のミスマッチを防ぐには|事前準備と面接での確認ポイント

ミスマッチ防ぐ準備を象徴する若手のビジネスパーソンの写真

転職を考えている、転職活動を進めている、そんな転職に挑戦するあなたにとって常に不安であり続けるのは、

転職して、
仕事が合わなかったらどうしよう…
職場に馴染めなかったらどうしよう…

という、「転職ミスマッチに対する不安」ではないでしょうか?

ちち

私もそうでした。転職することを決めても、なかなか未来に対する不安は拭えないですよね。

採用する側から見ていると、ミスマッチが発覚するのは入社後ですが、兆候はたいてい入社前に出ています。求人票で空欄になっていた項目、面接で担当者が言葉を濁した場所、その日誰が面接に出てきたか。後になって「あのとき引っかかってはいたんです」と言われることが、本当に多い。

この記事で扱うのは、入社を決める前にできる確認だけです。入社してから合わないと感じたときの見極めは試用期間の記事に、そもそもなぜギャップが生まれるのかという構造はなぜミスマッチは起きるのかに分けてあります。自分の向き不向きから整理したい場合は経歴の棚卸しが先です。

目次

求人票は「書いてあること」より「空欄」を見る

事前調査というと企業研究のことだと思われがちですが、ミスマッチを防ぐ目的では見る場所が違います。事業内容や業績をいくら調べても、入社後の日常は分かりません。見るべきは、本来書けるはずなのに書かれていない項目のほうです。

求人票が黙っていたら、面接で聞く項目
  • 一日の業務の流れ(時間の使い方が書けないのは、業務が定まっていないことがある)
  • 配属先のチーム人数と構成
  • 残業時間が「月平均◯時間」の形で書かれているか
  • 評価のタイミングと基準
  • そのポジションが増員なのか、欠員補充なのか

最後の項目が、この中でいちばん効きます。採用側の事情を明かすと、欠員補充のときほど求人票は雑になります。人が抜けた穴を急いで埋める必要があるうえ、前任が辞めた理由を書くわけにいかないので、記述が薄くならざるを得ない。逆に増員のときは事業計画とセットで作るので、役割も体制も具体的に書けます。求人票の粗さは、そのまま採用の切迫度を表していることがある——そう思って読むと、同じ文面から見えるものが変わります。

職種名が「営業」「企画」のような大枠だけで終わっている求人も同じです。何を担当するかが書けていない場合、入社後に決まる部分が大きい。それ自体は悪いことではありませんが、入る前に想定していた仕事と違うものが割り当てられる余地があるということです。

口コミは点数ではなく、退職理由の散らばり方を見る

転職サイトの口コミを見るとき、総合評価の点数を見てもほとんど意味がありません。わざわざ書き込むのは不満を持って辞めた人に偏るので、点数は構造的に低く出ます。満足して働いている人は書きません。

見るべきは、辞めた理由が1点に集中しているかどうかです。給与・上司・残業・将来性とばらけているなら、それは規模なりのごく普通の会社です。ところが「同じ部署の同じ問題」が複数の書き込みに出てくるなら、それは個人の相性ではなく構造として残っている問題で、あなたが入っても同じことが起きます。

もうひとつ、必ず日付を見ること。3年前の不満はすでに解消されているかもしれませんし、その間に経営陣が入れ替わっていれば実質的に別の会社です。企業の公式発信(採用サイトや社員インタビュー)と社員個人の発信のずれも参考になりますが、こちらは書き手が限られるので、断定材料にはしないほうが安全です。

面接では、答えの中身より「濁されたかどうか」を見る

ここが本題です。先に整理しておくと、面接官に好印象を残すための逆質問逆質問の完全ガイドにまとめてあります。この記事で扱うのは逆で、印象を良くするためではなく、自分が判断するための材料を取る質問です。目的が違うので、聞き方も、見るところも変わります。

判断材料を取りにいくとき、重要なのは質問の中身より返ってきた答えの質のほうです。採用側にいて分かるのは、答えられる質問と答えられない質問がはっきり分かれるということ。そして答えられないとき、面接官は決まった反応をします。

返ってきた答えの読み方
  • 具体的な事例で返ってくる——実際に運用されている。ここは信じていい。
  • 「人によりますね」「部署によります」——決まっていないか、言いたくないかのどちらか。
  • 質問を言い換えて返してくる——答えを避けている典型。もう一度、別の角度から聞く価値がある。
  • 「詳しくは入社後にご説明します」——入社前に説明できない理由があるか、まだ決まっていない。
  • 制度の説明は流暢なのに、実例が出てこない——制度はあるが、使われていない。

私自身、答えづらい質問をされたときは一般論で返しています。嘘をつくわけにはいきませんが、選考の場で「評価制度は形骸化しています」とも言えない。だから角の立たない言い方に逃げる。つまり濁したこと自体が、すでに答えになっているわけです。ここを聞き流さずに持ち帰れるかどうかが、事前調査の精度を決めます。

もう一つ、質問の答えと同じくらい情報量があるのが誰が答えたかです。現場の業務に関する質問なのに人事しか答えられない面接は、配属先がまだ決まっていないか、現場が採用に関与していないかのどちらかです。どちらの場合も、入社後に「聞いていた話と違う」が起きやすくなります。逆に、配属予定の部署の人が同席していて、その人が具体的に答えるなら、受け入れ体制はできていると考えていい。

確認しておく5つの領域と、その赤信号

聞く内容は、次の5領域が埋まれば足ります。1領域につき1問で構いません。用意した質問を全部ぶつけようとすると時間が足りなくなりますし、こちらとしても「確認事項の多い人だ」という印象のほうが残ります。

  • 役割の範囲——「このポジションは増員ですか、欠員補充ですか」。赤信号=答えが曖昧、または前任の話題を避ける。
  • チームと上司——「配属先は何人で、直属の上司はどなたになりますか」。赤信号=面接の場に配属先の人が一人もいない。
  • 働き方の実態——「先月の残業時間は、この部署だと平均どのくらいでしたか」。赤信号=会社全体の平均で答える。
  • 評価——「直近1年で、この部署から昇格した方はいますか」。赤信号=制度の説明だけで、実例が出てこない。
  • 意思決定——「現場から出た提案は、どこで決裁されますか」。赤信号=「ケースバイケースですね」。

5つとも、制度ではなく直近の実例を聞く形にしてあります。これは意図的です。制度は資料があるので誰でも答えられますが、実例は運用されていないと出てきません。「評価制度はどうなっていますか」と聞けば説明が返ってきますが、「直近1年で昇格した人はいますか」と聞くと、いない部署では答えに詰まる。濁しを引き出す聞き方をしておくことが、そのまま判断材料になります。

なお、これらは責める質問ではありません。実例で答えられる会社にとっては、むしろ答えたい質問です。詰問口調にならないよう、「差し支えなければ」を一言添えれば十分です。

エージェント経由なら、求人票に載らない情報がもう一段ある

エージェント経由で応募している場合、担当者は求人票には書けないことを口頭で聞かされていることがあります。企業側は、紹介の精度を上げてもらうために採用背景を伝えるからです。私も依頼するときは、求人票に書かない事情まで話します。

面接前に担当者へ確認しておく価値があるのは、次のようなことです。なぜこのポジションが空いたのか。前任者は異動なのか退職なのか。過去にこの企業へ紹介した人は、いま定着しているか。書類で落ちた人にはどんな傾向があったか。

とくに三つ目は、担当者にしか持てない情報です。口コミサイトの書き込みより新しく、しかも自社が送り込んだ人の話なので具体的でもある。同じ部署に紹介した人が短期間で辞めているなら、その理由は担当者が知っています。

ただし、これらに答えられない担当者もいます。企業と直接やり取りしていない場合、求人票以上のことを持っていないからです。答えが返ってこないこと自体は責める話ではありませんが、その担当者からは求人票の範囲を超えた判断材料は出てこないと分かる。担当者をどう見るかはエージェントの選び方で扱っています。

入社前に分かることには、限界がある

ここまでやっても、事前に分かることには限界があります。上司との相性、繁忙期の空気、部署ごとの独自ルール——実際に働いてみないと出てこない部分は必ず残ります。面接は長くても数時間で、こちらも良い面を見せようとしている場なので当然です。

だから目標を、ミスマッチをゼロにすることに置かないほうがいい。置くべきは、入社後に気づいたときに動ける状態にしておくことです。試用期間中の見極め方は冒頭で挙げたとおりですが、もし対処が遅れて関係がこじれてしまった場合は、そこからの立て直し方を別にまとめてあります

入社前にできるのは、求人票の空欄を見つけること、口コミの偏りを外して読むこと、面接で制度ではなく実例を聞くこと、そして濁されたところを覚えて帰ること。この4つだけです。完璧に見抜くことはできません。ただ、引っかかった点を「気のせいだ」で処理しなければ、たいていのミスマッチは事前に予感できています。後から振り返って思い出せるのは、たいてい最初に引っかかったその一点です。

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この記事を書いた人

サビ残100h/月の公務員から30歳で大手IT企業に転職し、年収2倍(360→750万)・残業10h未満を達成。現在はベンチャー企業の執行役員として採用を管掌し、累計1,000名以上の面接と5,000枚以上の履歴書・職務経歴書チェックを通じて200名以上の採用に関与(新卒〜執行役員クラス)。RPOしていた採用の内製化、ATS導入による一元管理、多拠点採用まで自ら設計・運用しています。"採用する側"の本音をもとに、キャリアに悩む方々の道標となる情報を発信しています。

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