面接の転職理由は模範解答ほど残らない|本音別の言い換えと、避けたい5つの言い方

最強の転職理由を象徴する若手のビジネスパーソンの写真

「なぜ転職しようと思ったのですか」。面接でほぼ必ず聞かれる質問です。

先に整理しておくと、この質問には2つの中身が混ざっています。なぜ前職を辞めたのか(過去)と、なぜこの会社を選んだのか(未来)です。この記事で扱うのは後者、選んだ理由の作り方です。

辞めた理由の伝え方——特に本音がネガティブなときの扱い方は、別記事で詳しく書いています。

目次

先に断っておくと、模範解答をそのまま使うと印象に残りません

この手の記事には、たいてい「良い例」が並びます。この記事にもこれから並べます。ただ、採用する側にいる立場から、先に言っておきたいことがあります

ちち

「キャリアアップのため」「より大きな挑戦を求めて」「自分のスキルを活かせる環境で」——この手の言い方は、毎週のように聞きます

模範解答をそのまま使っても落とされるわけではありませんが、誰の答えだったか思い出せなくなります。なぜそうなるのかは別記事で書いたので、ここでは結論だけ使います。

使えるのは、その定型に「あなた固有の事実」が入っているときだけです。以下の例は、その入れ方が分かるように書きました。◯◯の部分を自分の事実で埋めるところまでが、この記事の使い方です。

本音別|言い方をどう組み替えるか

よくある5つの本音について、そのまま言った場合と、組み替えた場合を並べます。組み替えの型は毎回同じです。「不満(過去)」を外し、「やりたいこと(未来)」に、固有の事実を添える。

本音①「会社の将来性が不安」

そのまま言うと
「現在の会社の業績が悪く、将来性に不安を感じているため転職を考えています。」

組み替えた言い方

前職では◯◯という事業を担当していましたが、この3年で市場が縮小し、新しい取り組みに投資できる状況ではなくなりました。私が伸ばしたいのは◯◯の領域で、御社がいま△△に投資している段階だと知り、そこで自分の経験を使いたいと考えました。

ここが効いています:業績への不満を事実として1行だけ置いて、批判にしていません。そのうえで「御社がいま何をしているか」に触れています。この会社を選んだ理由が入っているかどうかで、印象がまったく変わります。

本音②「キャリアチェンジしたい」

そのまま言うと
「今の仕事に飽きたので、全く違う仕事にチャレンジしたいと思います。」

組み替えた言い方

◯◯の仕事を5年続けるなかで、△△の場面を扱うことが増え、そこが自分にとって面白い部分だと分かってきました。前職では担当範囲外だったので、専門にできる場所を探しています。これまでの◯◯の経験は、△△でも土台として使えると考えています。

ここが効いています:「飽きた」を「面白い部分が分かってきた」という発見の話に置き換えています。そして未経験分野に飛ぶのではなく、前職の経験が土台になると示している点が重要です。ここがないと、採用側は育成コストだけを見ます。

本音③「ワークライフバランスを改善したい」

そのまま言うと
「現在の会社は残業が多く、プライベートの時間がほとんどないので転職を考えています。」

組み替えた言い方

前職は月◯時間ほどの残業が常態化していて、成果よりも在席時間で評価される面がありました。私は◯◯を効率化して定時内で回すことに関心があり、実際に前職でも△△を導入して処理時間を短縮しました。同じやり方で貢献できる環境で働きたいと考えています。

ここが効いています:「楽をしたい」ではなく「効率化して成果を出したい」という方向に置いています。しかも実際にやったことを添えているので、言葉だけになっていません。この形なら、労働時間の話をしても後ろ向きに見えません。

本音④「給料が安い」

そのまま言うと
「今の会社の給料が安すぎるので、もっと高給の会社に転職したいです。」

組み替えた言い方

前職では◯◯を担当し、△△という成果を出しましたが、給与テーブルが年次で決まる仕組みで、成果が反映される余地がありませんでした。成果で評価される仕組みのある環境で、同じ領域を続けたいと考えています。

ここが効いています:金額の話をせず、「評価の仕組み」の話にしています。前職を悪く言うのではなく仕組みの説明にとどめている点も大事です。なお希望額そのものは面接ではなく、条件のすり合わせの段で伝えるほうが通ります

本音⑤「新しいことに挑戦したい」

そのまま言うと
「今の仕事はやりきったので、何か新しいことをしてみたいと思います。」

組み替えた言い方

前職で◯◯を一通り任されるようになり、次は△△まで踏み込みたいと考えるようになりました。ただ前職ではその領域を扱っておらず、社内で移る道もありませんでした。御社の求人に△△が業務として書かれていたので、応募しました。

ここが効いています:「やりきった」だけだと傲慢に聞こえますが、次にやりたいことが具体的だと意欲として読めます。そして「社内で移る道がなかった」という一行が、先に社内で動こうとした事実を示しています。これがあると、飽きたから辞める人には見えません。

5つを並べて気づいたと思いますが、やっていることは毎回同じです。

【組み替えの型】
1.不満を事実として1行だけ置く(批判にしない)
2.やりたいことを具体的な領域名で言う
3.自分がやった事実を1つ添える
4.なぜこの会社かを1行入れる

4が抜けている応募者が、いちばん多いです。ここが入っていないと、どの会社にも出せる文面になります。

それでも避けたい、5つの言い方

ここまでの内容で、転職理由を述べる際はネガティブな印象を与える表現を避けることが重要だと綴ってきました。

改めて以下のような理由や言い方は控えましょう。

前職や上司の批判「前の会社の経営方針に問題があった」「上司とうまくいかなかった」といった発言は、協調性の欠如や問題回避の姿勢と受け取られる可能性があります。
給与面の強調「より高い給与を求めて」という理由は、金銭的動機のみで転職を考えているという印象を与えかねません。
責任転嫁「会社の方針変更で私の部署が縮小された」など、外部要因のみを理由にすると、主体性の欠如と捉えられる可能性があります。
曖昧な理由「なんとなく変化が欲しかった」といった具体性に欠ける理由は、転職の真剣さや目的意識の欠如を示唆してしまいます。
消極的な態度「このまま続けても仕方ない」といった諦めを感じさせる表現は、モチベーションの低さを印象づけてしまいます。

とはいえ、定型のポジティブな言い換えに逃げると、今度は冒頭で書いた「模範解答」に戻ってしまいます。

「前職での経験を基に、より挑戦的な環境で自身の可能性を広げたい」のような文は、毎週のように聞く側からすると、誰の答えだったか思い出せません。諦めの言葉を避けたうえで、具体的な事実とその先の目的をそのまま置く——結局は、この記事の本音別の言い換えに戻るのがいちばん確実です。

面接で転職理由を聞くとき、私が実際に受ける質問

Q. 本音の転職理由(給料・人間関係)は言ってはいけませんか?

本音を隠す必要はありませんが、そのままぶつけるのも、定型句に言い換えるのも避けましょう。「成果が正当に評価される環境で挑戦したい」のような翻訳は、聞く側には元の不満が透けて見えます。本文の本音別の言い換えのように、事実と数字で具体化するのが、本音をそのまま使える形です。

Q. 当たり障りのない転職理由を用意すれば安全ですか?

無難すぎる理由は、逆に印象に残りません。採用担当は毎日たくさんの「成長したい」を聞いています。あなた自身の経験に紐づいた具体的な理由のほうが、ずっと説得力があります。テンプレより、自分の言葉を。

Q. 転職回数が多いとき、理由はどう伝えれば?

回数そのものより「一貫性」が見られています。バラバラに見える経歴でも、「◯◯という軸で選んできた」と一本の線でつなげられれば、納得感が生まれます。各転職を前向きな選択として語りましょう。

まとめ|型は同じ、入れる事実だけが自分のもの

・転職理由には「辞めた理由(過去)」と「選んだ理由(未来)」がある。この記事は後者
・模範解答をそのまま使っても落とされないが、誰の答えか思い出されない
・組み替えの型は、不満を事実で1行/やりたいことを具体的に/やった事実を1つ/なぜこの会社かを1行
・4番目が抜けると、どの会社にも出せる文面になる

例文は骨組みとして使ってください。◯◯を自分の事実で埋めたときに初めて、あなたの転職理由になります


志望動機そのものの組み立て方を知りたい

転職回数が多く、一貫性をどう見せるか悩んでいる

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この記事を書いた人

サビ残100h/月の公務員から30歳で大手IT企業に転職し、年収2倍(360→750万)・残業10h未満を達成。現在はベンチャー企業の執行役員として採用を管掌し、累計1,000名以上の面接と5,000枚以上の履歴書・職務経歴書チェックを通じて200名以上の採用に関与(新卒〜執行役員クラス)。RPOしていた採用の内製化、ATS導入による一元管理、多拠点採用まで自ら設計・運用しています。"採用する側"の本音をもとに、キャリアに悩む方々の道標となる情報を発信しています。

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