公務員から転職しやすい業界とは|採用された経歴の共通点

公務員から民間を象徴する若手女性のビジネスパーソンの写真

公務員から民間へ転職しようと求人を見はじめると、たいていここで止まります。そもそも、自分はどの業界なら通るのか

私自身、公務員から大手IT企業へ転職しました。動き出した当初は落とされにくい業界が分かっておらず、書類で見送られることが続きました。

いまはベンチャー企業の執行役員として採用を管掌しています。選ぶ側と選ばれる側の両方を経験したので、公務員の経歴がどの業界で通り、どこで止まるのかが見えるようになりました。この記事では、その線引きを書きます。

目次

公務員から通りやすい業界は、はっきりしている

公務員から民間へ転職するときにぶつかりやすい壁は、「民間での経験が無い、もしくは浅い」と見られやすいことです。

裏を返せば、「未経験や経験の浅さがマイナスになりにくい」業界は、公務員からでも挑戦しやすいと言えます。具体的には、次のような領域です。

公務員からの転職で挑戦しやすい傾向のある業界
  • 未経験や第二新卒の採用に力を入れている会社
  • IT・Web業界など、さまざまな知見を求めている業界
  • 企業法務やコンサルなど、法律に触れる機会の多い業界
ちち

かくいう私も、公務員から大手IT企業の法務部門へ転職しました。書類の通過率が高かったのも、ITやWeb、法務・コンサル系の求人でした。

こうした特定業界の求人に詳しいのは、総合型よりも特化型に多い傾向があります。逆に「どの業界が向いているか、まだ自分でも判断がつかない」という段階であれば、幅広く相談できる総合型から始めて、方向性が見えてきたら特化型に絞る、という進め方も現実的です。

採用側から見た、通る業界の共通点

業界名を並べるだけだと応用が効かないので、なぜその業界なら通るのかを採用する側の見方で説明します。共通点は1つです。

行政の仕事で使っていた型が、そのまま職務要件として存在している領域。これが通る業界です。

契約・法務

契約書の作成・審査・相手方との交渉は、行政でも民間でもほぼ同じ形で存在します。私は自治体で年間約100件の請負・業務委託・著作権契約を扱っていましたが、この経験は民間でそのまま職務要件に対応しました。書類の通過率がいちばん高かったのもこの領域です。

コンプライアンス・内部管理

規程を読んで運用に落とす、法令の改正を追って社内に反映する、リスクを企画段階で洗い出す——行政職が日常的にやっていることです。民間ではこれを専門にやる人が足りていません

調整と合意形成が中心の職種

事業推進やプロジェクト管理のように、利害の違う関係者を集めて落としどころを作る仕事です。行政の調整業務はここに直結します。実績が数字で出しにくいぶん、経験そのものが評価されやすい領域でもあります。

未経験を前提に採用している会社

職務要件との対応が薄くても、育てる前提の採用枠なら通ります。IT・Web業界に多いのは、業界そのものが伸びていて人が足りていないからです。

逆に止まりやすいのは、成果が数字で直結する経験が要件になっている職種です。営業の売上実績、エンジニアの実装経験など、行政に対応する経験がないものは、書類の段階で比較にならないことがあります。

ちち

能力の問題ではなく、要件との対応があるかどうかだけの話です。だから業界を選び直すだけで結果が変わります。

自分の行政での経験を、民間に通じる言葉に置き換える手順はこちらにまとめています。

勤務地が東京以外だと、見られる点が変わる

これはあまり書かれていない話です。同じ会社でも、東京の求人と地方拠点の求人では、求める人材像が違います。私は東京と複数の地方拠点の採用を担当しているので、その差が見えます。

東京の応募者は、率直に言ってスキルや経験値が高い方が多い。ただし提示する年収も高くなります。母数が多く、競争も激しい市場です。

一方で地方拠点は、そもそも人員が豊富ではない場合があります。教える人が常に横にいるとは限らない。だから採用側は自走できる人を求める傾向が強くなります。

ここで見ているのは、経験年数やスキルの高さではありません。自分の置かれた状況を、人や環境のせいにしないで語れるかです。「前の職場ではここまでしかできなかった」で止まる人より、限られた条件の中で何をしたかを話せる人のほうが、地方拠点では安心して任せられます。

行政職の方は、実はここが強いことが多いと感じます。人員も予算も決まっている中で回してきた経験は、そのまま自走の実例になります。

その業界の求人を、どう見つけるか

領域が決まっても、求人票の読み方を知らないと空振りします。書類を選考する側から見て、応募先を選ぶときに見るべき箇所を挙げておきます。

まず、「必須要件」と「歓迎要件」を必ず分けて読んでください。ここを混ぜて読むと、通る求人を自分で捨ててしまいます。

【求人票の読み分け】
必須要件に「同職種の実務経験○年以上」とある → 行政経験では対応しにくい。優先度を下げる
必須要件が「学歴」「基本的なPCスキル」などで、専門経験が歓迎要件に置かれている → 挑戦できる枠
「未経験歓迎」「第二新卒歓迎」の表記がある → 育てる前提の採用枠
歓迎要件に「契約」「法務」「規程」「調整」などの語がある → 行政経験が対応する

もうひとつ。職種名ではなく、職務内容の記述で探すのが有効です。「法務」で検索すると求人数は限られますが、「契約審査」「規程整備」「コンプライアンス」といった業務内容で探すと、法務部門以外の求人にも当たります。管理部門や事業部の中に、その仕事が置かれていることがあるからです。

ちち

求人票の仕事内容は、書く側としてはどうしてもかっこよく書きたくなるものです。私も採用LPや求人票を作る立場なので分かります。だから抽象的な表現は割り引いて読み、具体的な業務が並んでいる箇所を見てください。

まだ業界を絞れていない段階なら

ここまで読んで「自分がどの領域に当てはまるか、まだ判断がつかない」という場合は、先に業界を決めなくて構いません。幅広く相談できるところから始めて、方向が見えたら絞るという順番で問題ありません。

私の体験を一つ挙げると、最初に登録した総合型では「公務員からの転職だと給料が下がるので、希望を下げて数で勝負しましょう」と画一的な提案をされてしまいました。逆に、業界に詳しい担当者に出会えたときは「その年収を実現するにはどの企業が狙えるか」を一緒に考えてもらえました。担当者との相性や、その領域への詳しさが満足度を左右する、というのが実感です。

担当者との相性や、その領域への詳しさで得られるものは変わります。エージェントの型による違いと選び分けは、こちらで詳しく扱っています。

公務員からの転職でエージェントを使うべきか、どう見極めるかは別記事にまとめています。

まとめ|業界選びは、要件との対応で決まる

・通りやすいのは、行政で使っていた型が職務要件としてそのまま存在する領域
・具体的には契約・法務、コンプライアンス・内部管理、調整と合意形成が中心の職種、未経験前提の採用枠
・止まりやすいのは、成果が数字で直結する経験が要件になっている職種
・勤務地が東京以外だと、自走できるかどうかがより重く見られる
・求人票は必須要件と歓迎要件を分けて読み、職種名ではなく業務内容で探す
・まだ絞れていないなら、幅広く相談してから絞る順番でよい

「民間で通用するか」という不安は、業界を選び直すだけで小さくなることがあります。経歴の価値は、どこに出すかで変わります

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この記事を書いた人

サビ残100h/月の公務員から30歳で大手IT企業に転職し、年収2倍(360→750万)・残業10h未満を達成。現在はベンチャー企業の執行役員として採用を管掌し、累計1,000名以上の面接と5,000枚以上の履歴書・職務経歴書チェックを通じて200名以上の採用に関与(新卒〜執行役員クラス)。RPOしていた採用の内製化、ATS導入による一元管理、多拠点採用まで自ら設計・運用しています。"採用する側"の本音をもとに、キャリアに悩む方々の道標となる情報を発信しています。

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