第二新卒の転職エージェント活用|“またすぐ辞めない”を伝える退職理由の整理術

第二新卒を象徴する若手男性のビジネスパーソンの写真

「短期離職は経歴の傷になる」「3年は我慢したほうがいい」「退職理由は前向きに言い換えないと通らない」——第二新卒が転職を考えると、必ずこの種の話に行き当たります。どれも半分は当たっていますが、採用する側で実際に何が起きているかとは、少しずつずれています。

新卒で入った会社を1〜3年で辞めた人の選考を、何度も担当してきました。以下は、よく聞く言い分に対する採用側からの答え合わせです。そのうえで、「またすぐ辞めるのでは」という懸念が実際に消えるのはどこなのかを最後に書きます。

目次

よく聞く話を、採用側から答え合わせする

「1年で辞めた経歴は、書類で落とされる」——落とす基準にはなっていません

書類選考で在籍1年を見た瞬間に落とす、という運用を私はしていません。第二新卒枠で募集している以上、短い在籍は前提です。ただ、起きることが一つある。面接で確認する項目が一つ増えるということです。通常なら志望動機と経験の確認で終わるところに、「なぜ1年で辞めたのか」が加わる。持ち時間は同じなので、そのぶん他の話をする時間が減ります。

つまり短期離職の不利は、落とされることではなく持ち時間の目減りとして現れます。ここに10分使う人と3分で済ませる人では、残りの時間でアピールできる量が違う。短く答えられるよう準備しておく価値があるのは、そのためです。

「とりあえず3年は我慢したほうがいい」——年数で判断は変わりません

1年で辞めた人と、3年在籍して辞めた人。面接で私が聞くことは同じです。何をしていたか、なぜ辞めるのか、次に何をしたいか。3年いたからといって、この3つが自動的に答えやすくなるわけではありません。実際、3年在籍していても「特に何も身についていません」と答える人はいますし、その場合の印象は1年の人より悪くなります。年数は、答えの中身を保証しない。

逆に、我慢して3年いた期間が丸ごと空白として語られるくらいなら、1年で切り上げてその1年を濃く語れるほうが通ります。「3年ルール」が意味を持つのは、その3年で職務経歴書に書ける実績が積める場合だけです。積めない環境にいるなら、待つ理由は薄い。

「退職理由は前向きに言い換えるべき」——言い換えは、たいてい伝わります

これは半分は逆効果です。「キャリアアップのため」「より成長できる環境を求めて」といった言い方は、こちらには裏に何かあるのを隠したとしか聞こえません。隠されると、その中身を探る質問をすることになり、結局そこに時間を使います。定型のフレーズがなぜ透けるのかは別記事で仕組みから書きました

必要なのは前向きな言い換えではなく、事実をそのまま短く言うことです。「ルーティン中心で、企画に関わる機会がなかった」は不満ですが、隠していないので追及の対象になりません。不満を消すのではなく、不満で止めない。この違いだけです。

「第二新卒専門のエージェントを選ぶべき」——専門かどうかより、説明の代行力です

第二新卒に強いところを選ぶ意味はあります。ただし理由は、若手向け求人を持っているからではありません。短期離職の経緯を、企業に先回りして説明してくれるかどうかです。

書類が私の手元に届く前に、担当者から「1年での退職ですが、経緯はこうです」と一行添えられていることがあります。これがあると、書類の読み方が変わる。逆に何もないと、こちらは在籍期間だけを見て、面接で聞くべき項目として積み上げます。説明を代行してもらえるかどうかは、面接が始まる前に効いてきます。この一行を書いてくれる担当かどうかは、面談で「短期離職の経緯は企業にどう伝えていますか」と直接聞けば分かります。答えが「気にしなくて大丈夫ですよ」だけなら、たぶん書いていません。

「またすぐ辞めない」は、辞めるまでの経過で伝わる

ここからが本題です。第二新卒の面接で私が本当に見ているのは、辞めた理由そのものではありません。辞めると決めるまでに、何をどれくらい試したのかです。

同じ「合わなかった」でも、経過が語れる人と語れない人がいます。上司に相談したのか、異動を希望したのか、業務のやり方を自分で変えてみたのか、それをいつからいつまで続けて、何をもって見切ったのか。この経過が出てくる人は、次の職場でも同じ順番で粘ると読めます。だから「またすぐ辞める」の懸念が消える。

逆に、経過が空白の人は懸念が残ります。「きつかったので辞めました」だけだと、次に何かがきつかったときも同じ判断をすることになる。これは前向きかどうかとは関係ありません。実際、かなり後ろ向きな辞め方をしていても、「半年は続けたが改善の見込みがないと分かった時点で決めた」と経過が言える人には、私は不安を持ちませんでした。

ここが第二新卒にとって難所なのは、経過は当人にとって当たり前すぎて、思い出せないことが多いからです。辞めた記憶は結論だけが残り、途中で何を試したかは抜け落ちる。だから面接で聞かれても「特に何も」と答えてしまう。実際には何かしら試しているのに、です。

面談の最初に、この一言を出しておく

掘り起こす手がかりは決まっています。誰かに相談したのはいつか。断られたのか、動いてはもらえたのか。自分でやり方を変えてみたことはあるか。改善の見込みがないと判断したのはどの時点か。この4つを時系列に並べるだけで、経過はだいたい形になります。「何もしていない」と思い込んでいた人でも、上司に一度は言っている、異動の希望を出している、他部署の人に相談している、といったことが出てきます。試したことがないという人は、実際にはあまりいません。

とはいえ、抜け落ちた経過を一人で掘り起こすのは難しい。ここがエージェント面談の一番の使いどころです。担当者は他人なので、当人が飛ばしている部分に「そのとき何かしなかったんですか」と踏み込めます。

そのために、面談の最初に「辞めると決めるまでの経過を一緒に整理したい」と用件として出しておくこと。ただ求人を紹介してくださいと言うと、経歴と希望条件のヒアリングで面談は終わります。用件として出せば、そこに時間が割かれる。これは特別な依頼ではなく、本来の面談の範囲です。

もう一つ、伝えておいたほうがいいのが急がなくていいという意思表示です。第二新卒は決まりやすい層なので、放っておくと選考が並行で立ち上がります。焦って決めた転職がまた短期離職になると、次はさすがに説明が重くなる。「軸が固まるまで応募数は絞りたい」と最初に言っておけば、進め方は変わります。「いま登録しても空振りに終わる状態」というものもあります。自分がそれに当てはまっていないかは、転職エージェントに登録しても空振りする4つの状態で先に確かめておくと、登録のタイミングを間違えません。

関門は一つだけで、越え方も一つ

短期離職そのものは落とす理由になりません。年数を積むことにも意味はありません。前向きな言い換えは逆効果です。残るのは一つで、辞めると決めるまでの経過を、事実のまま短く語れるようにしておくこと。第二新卒の準備は、ここに集中させて構いません。

経過が整理できたら、それを面接でどう出すかは面接での退職理由の伝え方にまとめてあります。

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この記事を書いた人

サビ残100h/月の公務員から30歳で大手IT企業に転職し、年収2倍(360→750万)・残業10h未満を達成。現在はベンチャー企業の執行役員として採用を管掌し、累計1,000名以上の面接と5,000枚以上の履歴書・職務経歴書チェックを通じて200名以上の採用に関与(新卒〜執行役員クラス)。RPOしていた採用の内製化、ATS導入による一元管理、多拠点採用まで自ら設計・運用しています。"採用する側"の本音をもとに、キャリアに悩む方々の道標となる情報を発信しています。

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