転職理由が「スキルアップ」だと弱い理由と、企業に響く伝え方の3つの工夫

面接で転職理由を伝える女性

「転職理由は何ですか?」と聞かれて、「スキルアップのため」と答えたい。前向きで真っ当な動機なのに、実はこれ、そのまま伝えると企業側から「弱い転職理由」と受け取られやすい言い方なのです。

スキルアップしたいという気持ち自体は、すばらしく前向きなもの。問題は気持ちではなく、「伝え方」にあります。この記事では、公務員から大手IT企業へ転職し、採用面接にも携わった経験のある筆者が、スキルアップが転職理由として弱く見える理由と、それを企業に響く言葉へ変える具体的な工夫を、できるだけ中立的に整理します。

目次

なぜ「スキルアップ」は転職理由として弱く見えるのか

一言で言うと、「スキルアップ」だけでは自分のための動機に聞こえ、企業側のメリットが見えないからです。

採用する側は、「この人を採用すると、自社の課題解決につながるか」という視点で候補者を見ています。「なぜ転職を考えたのか」という質問に「スキルアップのため」とだけ答えると、企業は「うちはあなたをスキルアップさせるために採用するわけではない」と感じ、ミスマッチと判断されてしまうことがあるのです。

ちち

じゃあ嘘でも言い換えろってこと…?と思うかもしれませんが、そうではありません。

嘘をつく必要はまったくありません。やることは、「スキルアップ」という動機を、企業視点でのアピールポイントに翻訳することです。次の章から、その具体的な手順を見ていきましょう。

工夫1:向上させたいスキルを具体的に言語化する

そもそも「スキルアップ」という言葉は、それだけでは中身がまったく伝わりません。いいイメージの言葉ではあるのですが、どんなスキルを、どう向上させたいのかが抜け落ちているのです。

たとえば「PCスキルを向上させたい」と言っても、それがOfficeソフトなのか、プログラミングなのか、PC操作全般なのかで、向いている仕事=適切な転職先は大きく変わります。

  • プログラミングのスキルアップ → エンジニアの採用・活躍の場が多い企業 など
  • Officeソフトのスキルアップ → バックオフィスの企画や経理の求人がある企業 など

まず自分で、「何のスキルを、なぜ伸ばしたいのか」を一段掘り下げて言葉にしてみましょう。ここがあいまいなままだと、面接でも説得力が出ません。

このとき注意したいのが、「企業が求めるスキル」と「自分ができると思っているスキル」のレベル感には、思った以上にズレがあるという点です。前職では問題なくこなせていたことが、転職先では全然足りない——あるいは逆——というのはよくある話。自分の現在地を客観的に把握しておくことが、ミスマッチを防ぐ第一歩になります。

まとめ

「スキルアップ」を、何のスキルをどう伸ばしたいのかまで具体的に言語化する

自分の市場価値や現在のスキルの立ち位置がつかみにくいという方は、市場価値を3ステップで確認する方法もあわせて読んでみてください。

工夫2:自分のスキルアップを「企業のメリット」に変換する

次のステップは、あなたがスキルアップすることが企業側にもメリットになる、という方向でアピールポイントを組み立てることです。

たとえば、ゲーム開発で培ったプログラミングスキルを、Webサイト構築を専門とする企業でさらに磨きたいとします。採用に携わった経験から言うと、企業側は次のふたつの視点で候補者を見ています。

  • 専門が近い人材を獲得したい(同じくWebサイト構築を専門にしてきた人を選びたい)
  • 違った知見を持つ人材を獲得したい(ゲーム開発など、新たな視点でイノベーションを起こせる人を選びたい)

この例なら、2番をターゲットにしたアピールが効果的です。具体的には、転職理由を次のように言い換えるイメージです。

元々の転職理由:ゲーム開発で培ったプログラミングスキルを、Webサイト構築の企業でさらに磨きたい。
 ↓
企業のメリットを盛り込んだ転職理由:ゲーム開発で培ったプログラミングスキルとノウハウを、Webサイト構築にも活かして貢献したい。

※ 実際には自分の経歴を棚卸しして、どう貢献できるのかというエピソードに落とし込む必要がありますが、まずはイメージとして捉えてください。

ポイントは、「相手企業にとって役立つ知見を持った人材だ」と示すこと。この例で言えば、Webサイト上のボタンの見やすさにゲーム開発のUI知見を持ち込んだり、福引きのような仕掛けにゲーム要素を活かしたり——といった貢献が考えられます。そしてその新しい業務に携わること自体が、結果としてあなたのスキルアップにもつながります。

また、多少スキルが足りないと自分で感じていても、それを「できません」と伝えるのではなく、「スキルアップして即戦力になる意欲」として前向きに表現するのも有効です。意欲が無いより、あるほうが当然プラスに評価されます。

ちち

私自身、公務員として法律に触れる機会は多かったものの、企業法務の実務経験はありませんでした。そこを「足りない」と伝えるのではなく、「伸びしろ・意欲」として表現することで、内定までたどり着けました。

まとめ

自分のスキルアップが「企業にとってのメリット」になる方向でアピールに変換する

工夫3:その企業でどうスキルが伸びるかまで描く

最後に、その企業に入ることで自分のスキルがどう向上するのかまで描けると、スキルアップという動機が一気に強固な転職理由になります。

先ほどの例で言えば、ゲーム業界からWeb業界へ移ることで、これまで使う機会の少なかった知見に触れ、自分のスキルや視野が広がります。一般的に、業界をまたいで転職すると、元の業界では当たり前でなかった知識に出会い、引き出しが増えていく方向に進むことが多いように思います。

ここはあなたの経歴や志向に左右される部分が大きいのですが、「この会社のこの仕事を通じて、自分はこう成長できる」という見通しを言葉にできると、企業へのメリットと自分の成長が一本の線でつながった転職理由になります。

まとめ

その企業に入ることでどうスキルアップできるか、までセットで描く

筆者の場合:スキルアップを企業視点に言い換えた実例

筆者もまさに、スキルアップが転職の大きな理由でした。今後のキャリアを見据え、公務員として法律に触れてきた経験を活かし、比較的楽しいと感じていた法務系の職種でスキルを伸ばしたかったのです。

ですが、この理由のままでは企業の求める転職理由にはならないと当時痛感しました。理由はシンプルで、「企業が私を採用する理由」が含まれていなかったからです。自分のスキルアップが企業にとってどうメリットになるのかを、示す必要があったわけです。

最終的には、公務員ならではの法律の読み方や原文の解釈の手法を相手企業へのメリットとしてアピールしつつ、民間経験がない点については入社後のキャッチアップに一層注力する、という方向に整理しました。

もし何も工夫せず自分の頭の中だけで考えていたら、「法務系でスキルアップしたい」という思いだけで終わっていたはずです。少し手間はかかりましたが、企業視点に翻訳した分、納得のいく転職理由になり、結果として年収を上げる転職につながりました。

困ったときは、第三者の視点を借りる手もある

ここまで読んで、「自分一人で企業視点に翻訳するのは難しそう」と感じた方もいるかもしれません。実際、自分では気づきにくいところに、企業にとってのプラスポイントが眠っていることは多いものです。

そんなときは、第三者に経歴を棚卸ししてもらうのも一つの選択肢です。転職エージェントもその選択肢の一つで、求人企業の視点に立って「あなたのスキルが企業のどんなメリットになるか」を一緒に言語化してくれることがあります。もちろん、相性や合う・合わないはあるので、使わないほうがいい人の特徴もふまえて、自分に合うかを判断してみてください。

もちろん、信頼できる同僚や先輩、家族に話を聞いてもらうだけでも、自分では当たり前すぎて見えていなかった強みに気づけることがあります。大切なのは、「自分の動機を、相手(企業)の言葉に翻訳する」という視点そのものです。

整理した転職理由を、実際の応募書類や面接にどう落とし込むかは、職務経歴書の書き方や、面接対策(企業視点の想定質問)の記事も参考になります。

まとめ:スキルアップは「企業視点」に翻訳すれば強い武器になる

「スキルアップ」という転職理由が弱く見えるのは、動機そのものが悪いからではなく、自分視点のままで、企業へのメリットが伝わっていないからです。

今回紹介した3つの工夫——①向上させたいスキルを具体的に言語化する、②自分のスキルアップを企業のメリットに変換する、③その企業でどう成長できるかまで描く——を押さえれば、同じ「スキルアップ」でも、企業に響く転職理由へと変わります。

スキルアップしたいという前向きな気持ちは、それ自体がすばらしいもの。あとはその思いを、相手の言葉に翻訳して伝えるだけです。あなたの転職活動が納得のいくものになることを願っています。

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この記事を書いた人

サビ残100h/月の公務員から30歳で大手IT企業に転職し、年収2倍(360→750万)・残業10h未満を達成。現在はベンチャー企業の採用責任者として、累計1,000名以上の面接・5,000枚以上の職務経歴書を通じて約100名の採用に関与(新卒〜執行役員クラス)。"採用する側"の本音をもとに、キャリアに悩む方々の道標となる情報を発信しています。

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